山岡荘八「織田信長 〔4〕天下布武の巻」
読み終わりました。
浅井朝倉攻め・比叡山焼打ち・信玄死す、の話。
意地は感情の所産であってはならない。強い理性に裏付けられた個我の主張で、どこまでも正義の追究であって欲しい。(356頁)
「親政め、よいことを申した。この乱世に新しい道をつけようとするほどの者が、役に立つ奴ならば助けたい!そんな慾心をおこしてはならなかったのだ。邪魔するものは鬼も神仏も容赦はせぬ。それで無うてはこの乱世に道はつかぬわ……ワッハッハッハ……」(366頁)
なかなかにもって、味の深い巻でした。
気性こそ激しいが、慈悲の心もまた人並み以上であった信長ですが、その甘さが天下統一に障害となるなら、それを捨てて見せよう、と。
信長ほどに頑固とした理性の持ち主も珍しいんだろうなぁ。
後世に伝えられている、鳴かぬなら殺してしまえ的な信長の人物像はこの時以降の信長なんでしょうね。
次はついに最終巻です。
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