1 名前:以下、はてなにかわりまして元増田がお送りします。 投稿日:2011/04/04 15:38:15
技術特性を見ないで脱原発を訴えるゆとり脳に贈る。
火力発電
•石炭・石油・LPG等の燃料を用いる。
•24時間発電可能で、発電量の調整が利く。
•現在の日本の発電量の60%は、火力発電所による。
•2004年は6.2~11.2円/kWhと低コストだが、燃料価格高騰中。原油は2004年から2011年の間に5倍になっている。
•建設・燃料輸送・廃棄コストを入れて、原発の21~47倍のCO2を排出する。
•メタンハイドレートは、経済的な採掘方法が無い。採掘できても、従来の半分程度のCO2は排出はするので恐らく使えない。
•コジェネレーションは、大抵は小型LNGガスタービンを応用しているので、火力発電に近い。
原子力発電
•環境破壊が最も少ないが、稀に放射能漏洩事故が発生するときがある。
•24時間発電可能だが、発電量の調整は利かない。
•現在の日本の発電量の約30%は、原子力発電所による。
•5.9円/kWh程度と、低コスト。これは廃棄費用(原子力発電施設解体引当金総見積額と原子燃料サイクル・コスト)も計算に入れている。
•現在は原発は補助金に頼っていない。原子力関連の補助金は1,816億円で、電力会社が払っている電源開発促進税は3,292億円。
•CO2排出量は、建設・燃料輸送・廃棄コストを入れても、太陽光発電より少ない。
•燃料のウラン235は50年、プルトニウムはほぼ無限(数百年とも数千年とも言われる)の資源量がある。
•日本では燃料がウラン235の軽水炉(PWRとBWR)と、燃料がMOX燃料(プルトニウム239とウラン238)の高速増殖炉(FBR)がある。
•燃料の純度の問題で、軽水炉も高速増殖炉も核爆発のリスクは無い。
•しかし軽水炉は、原発が大爆発により喪失するリスクがある。つまり、高圧の水を冷却剤として用いるため、冷却水喪失事故、水蒸気爆発、水素爆発の危険性がある。
•高速増殖炉は、常圧のナトリウムを冷却材に用いるので、大爆発の危険性は低い。ただし、冷却材のナトリウムが水分と化合し発火する可能性がある。
•素人は高速増殖炉を怖がり、専門家は軽水炉を怖がる。高圧の水は、ナトリウム以上に厄介だ。
未来な原子力発電
•高温ガス炉は、一次冷却系ポンプの停止でも安全性が保たれる、実証炉段階の技術。より高温なのに現行の炉より安全だとされる。小型・高温を生かしてコジェネレーション・システムに応用したり、水素の生成に用いたりする事に期待されている。ただし、減速材はチェルノブイリ事故の悪化原因となった黒鉛。
•ヘリウム3を使った核融合炉は放射能を出さない。ゆえにガンダムのモビルスーツは大気圏内で爆発しても問題ない。しかし、三重水素を使った水爆以外の実用核融合は、未だ人類は成しえていない。100年後には実用化が期待されている。稀に常温核融合という偽科学が流行る。
水力発電
•ダムを作るので立地条件がとても厳しい。
•24時間発電可能だが、発電量は季節や天候に左右される。
•揚水発電は、発電量の調整に使われる。
•環境破壊が大きい。最近も2008年にJR東日本が取水量でイカサマをして、信濃川の環境を破壊していたことが発覚。シャケが獲れないよ、JR。
•現在の日本の発電量の8%程度が、水力発電。
•11.9円/kWhと、原子力の2倍程度のコスト。
小水力発電
•ダムを作らず、中小の河川や排水で発電するシステム。
•立地条件は、大規模水力発電よりは緩い。
•高コストだが、コストダウン中。
•日本では、なぜか水力発電と同じ許認可が必要で、設置が難しい。規制緩和の掛け声はどこへ?(2011/04/04 17:50 追記)
風力発電
•バードストライクや騒音問題など環境破壊が多少ある。
•発電量は季節や天候、時間帯に左右される。
•強風・無風に弱いため、立地条件が厳しい。京都府伊根町で風が吹かないことが問題になっている。また、2003年に宮古島で、台風が風力タービンをなぎ倒した事がある。
•高コストだが、技術的にはコストダウン中。
•スペインは、補助金と優遇税制で20%の電力を風力発電で賄うまで至った。
•洋上風力発電は、風力が得られるのでドイツやイギリスで建設されているが、日本には適した場所が少ない。
•洋上浮体風力発電は、全く実用化の目処は立っていない。
太陽光発電
•発電量は気温・天候・時間に左右される。
•日中は日があたる場所に設置する必要がある。
•CO2排出量は、原発の2倍程度ある。
•高コスト(2011年で約40円/kWh)だが、コストダウン中。2020年頃に火力発電所より低コストになることを期待されている。
•ソーラーパネルの単価も高いが、パワコンや工事費のコストもかかる。
•広い設置面積が必要(LPG火力発電所の270倍)。つまり地代が高くつく。
•全ての一戸建に家庭用太陽光発電システムを設置しても、総電力需要の10%程度しか補うことができない。
•宇宙太陽光発電は、実証実験など積極的に研究を進めているのが日本だけ。つまりJAXAの妄想。
太陽熱発電
•砂漠では見直されているソーラーレイ・システム。
•恐らく、砂漠でしか使えない。
•蓄熱で24時間発電が可能。
•CO2排出量も少ない。
•米帝は130万kWh級の太陽熱発電の建設予定。
•かつては日本でも研究されていた。
•まぶしい。
地熱発電所
•地下の熱水を汲み上げてタービンを回す発電システム。
•24時間発電が可能。季節、天候などには影響されない。
•立地条件が厳しい。温泉と競合するといわれている。
•CO2排出量は少ない。
•再生可能エネルギーの中ではコストも安い。9円kW/hも可能と言われている。
•温泉を犠牲に地熱発電所を限界まで建設しても、日本の総電力需要の1%程度しか満たせない。
•研究中の高温岩体発電は、水が無くても発電できる。しかし、2,900万kW/hの潜在資源量しかなく、総電力需要の2.5%程度しか満たせない。
•構想中のマグマ発電は、水が無くても発電できる。潜在資源量も、総電力需要の3倍と言われる。しかし、絵に描いた餅に過ぎない。
メタンガス発電
•牛などの家畜の糞からメタンガスを生成・回収し、発電を行う。
•家畜の糞の臭いを抑える効果がある。副産物として肥料の生産にもなる。酪農家には一石三鳥。
•家畜の糞が無いと始まらない。大規模な発電所は作られないであろう。
•CO2は排出するが、カーボン・ニュートラルだと考えられている。むしろ、メタンガスの大気中への排出を抑えるため、地球温暖化防止効果は高い。
バイオマス発電
•CO2は排出するが、材料の廃材などは発電に使わなくても分解されCO2を排出するため、カーボン・ニュートラルだと考えられている。
潮力発電
•潮の満ち引きを利用して海水を堰で蓄積し、それで発電を行う。
•発電量は調整・計算可能。
•日本では発電に適した所が少ない。
※ コスト計算に関する補足 ※
•コストは限界コストで、現在から未来にかかる費用。
•過去の事故による損害賠償も、今後は防止できるなら計算に含まない。
•過去の研究開発や補助金の支出も、今後は必要ないなら計算に含まない。