「子供のころから、個性個性って親にも先生にも言われ続けて育ったから、そりゃま、そうなっても仕方がないんだけど。でも、大学生になると今度は急に変わるじゃない。人並みに就職しろ、人並みな生活しろ、
人並みなことができてからものを言えって。」
(32頁より)
個性個性言いだしたのは最近ですからね。
それでも、確かにそういうことはありますよね。
改めて考えてみると、馬鹿みたいですね。
子どもは夢を持って、自分らしさを持って、元気でいるものだ。
という先入観、偏見を子どもに勝手に押しつけて、
ある程度育ったら途端に手のひらを返して、
個性なんて必要ない、みんなと同じことをしろ。
夢なんて見るな、現実をみろ、と。
うーん。やはり、それはおかしいですよね。
本来それは、各々が自ら探し、見つけで持つものであり、
自ら悟り卒業していく、得ていくモノであり、考え方なんですよね。
それを第三者が、こうであるべきだ、という、ある種の答えを教えてしまうのはよくないですよね。
そうやって、その答えを導く過程を知らず、ただ答えだけを教わった人間が親になったとき、自分の子どもに何を伝えられるんでしょうね?
いや、そういう意味では、現在の親が既にそういう人間になってしまっているのか……
で、本書の感想ですが。
うーん。
これは好き嫌いが分かれるんじゃないですかねえ。
少なくとも、私にとって、この主人公は気に入らない人間に入ります。
というか、嫌い、ですね。
認めてはいけない人種というんでしょうか。
と、いうと大袈裟なんですけど。
私は自殺はいけない、と思うんですけどね。
結局、あっちにふらふら、こっちにふらふら、してただけで、
何もできやしなかった。当事者であるようで、実際はただの傍観者に過ぎなかった。
というより、もう一歩が踏み込めなかった。搦め手ばかり考えて、全て手おくれになってしまった。
せめて遺書を読むぐらいの責任は果たすべきではなかったのか。
自殺を望む者
自殺を止めようとする者
自殺しようとする人を貶めようとする者
自殺の手助けをしようとする者
自殺した者
いろいろ考えさせられる話でした。
この主人公の行動は気に入りませんが。
意地でも根性でもなんでもいいから、
止めるなら、止める。
見届けるなら、最後まで見届けるべきなんだと思います。
いうなれば、それが彼女の望みでもあったんじゃないでしょうか。
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